分かりにくいアプリケーションを作らないための、UIのデザインについて検討してみた

UIデザインの改善:分かりやすいアプリケーション開発を目指して

背景

現在運用中のシステムやソフトウェアにおいて、利用者からの「使いにくい」というフィードバックや、開発者自身が検証中に感じる画面の使いにくさが課題となっています。これらの問題点を具体的に言語化し、改善策を検討するため、UIデザインの体系的なアプローチやノウハウの習得が急務です。再現性高く使いやすい画面を構築するための知見を深める必要があります。

現状

  • デザインプロセスの属人化・非体系化:
  • 画面設計やUIデザインが感覚的・経験則に基づいて行われている。
  • 特定の画面構成(例:データ一覧表示とその詳細をフォームで表示するパターン)に依存しがちで、思考がパターン化している。
  • ユーザーエクスペリエンス(UX)への配慮不足:
  • UXを意識した設計が十分に行われていない。
  • 先進的なUI概念の習得と実践の遅れ:
  • オブジェクト指向UI(OOUi)の概念は認識しているものの、まだ導入・習熟の段階にある。
  • デザイン要素の基準の曖昧さ:
  • 配色、文字サイズ、余白といった基本的なデザイン要素について、明確な基準やルールがないまま感覚的に決定されている。

ありたい姿

  • 体系的・論理的なデザインアプローチの確立:
  • UIデザインを体系的かつ論理的に行えるようになる。
  • ユーザー中心設計の実践:
  • 利用者の使い勝手やUXを深く考慮したデザインを実現する。
  • 共通理解と標準化の推進:
  • UIデザインに関する原則や指針を理解し、チーム内での共通認識やルールとして確立・共有する。
  • デザイン要素の基準化と品質向上:
  • 配色、文字サイズ、余白などのデザイン要素を、黄金比や確立されたルールに基づいて設計できるようになる。

問題点

  • UIデザインを行う上での体系的なプロセスや論理的な根拠が欠如している。
  • ユーザーの視点や体験を設計の中心に置く意識と手法が不足している。
  • UIデザインに関する専門知識(OOUi、デザイン原則、配色理論、タイポグラフィ、レイアウト等)が不足しており、実践スキルも未熟である。
  • デザインに関するチーム内での共通言語や基準が存在せず、品質のばらつきやコミュニケーションコストの増大を招いている可能性がある。

改善すべき課題

  • 課題1: UIデザインプロセスの体系化と論理性の向上
  • 感覚的なデザインから脱却し、再現性のある体系的・論理的なUIデザインプロセスを確立する。
  • 課題2: ユーザー中心設計(UCD)の導入と実践
  • ユーザーのニーズや行動を理解し、UXを最優先に考慮したデザインアプローチを導入・実践する。
  • 課題3: UIデザインに関する専門知識・スキルの習得と向上
  • オブジェクト指向UI、デザイン原則、配色、タイポグラフィ、レイアウトなど、質の高いUIを実現するための知識と実践スキルを体系的に習得する。
  • 課題4: UIデザインガイドラインの策定とチーム内への浸透
  • チームメンバーが共通認識を持ち、一貫性のあるUIデザインを効率的に行うための原則、指針、ルールを策定し、チーム全体で共有・活用する。

課題1:UIデザインプロセスの体系化と論理性の向上へのアプローチ

「雰囲気」や「パターン依存」のデザインプロセスを見直し、客観的な根拠に基づいた意思決定ができるような仕組みを導入する。

標準的なUIデザインプロセスの導入

デザイン原則・ヒューリスティックの活用による論理性の強化

ヤコブ・ニールセンの「ユーザビリティ10原則」
ゲシュタルト原則(近接、類似、閉合など)
プラットフォームガイドライン(iOS Human Interface Guidelines, Material Designなど)の基本的な考え方
上記のような、広く認知されているデザイン原則やヒューリスティックを学習する。

課題2:ユーザー中心設計(UCD)の導入と実践へのアプローチ

ユーザーのニーズや行動を深く理解し、UX(ユーザーエクスペリエンス)を最優先に考慮したデザインアプローチを導入・実践することを目指します。

ターゲットユーザーの明確化と共感

ユーザーの利用文脈の理解と体験の可視化

プロトタイプを用いた継続的なユーザビリティ検証

課題3:UIデザインに関する専門知識・スキルの習得と向上へのアプローチ

オブジェクト指向UI、デザイン原則、配色、タイポグラフィ、レイアウトなど、質の高いUIを実現するための知識と実践スキルを体系的に習得し、向上させることを目指します。

基礎となるデザイン原則・理論の学習

UIデザインの拠り所となる普遍的な原則や理論を理解する。

  • デザイン原則: ヤコブ・ニールセンの「ユーザビリティ10原則」、ゲシュタルト原則(近接、類同、閉合など)、Fitt’sの法則、Hick’sの法則など。
  • オブジェクト指向UI (OOUi): OOUiの基本概念、タスク指向UIとの違い、オブジェクトの抽出方法、ビューの設計方法などを学ぶ。
  • 情報アーキテクチャ (IA): 情報の分類、ラベリング、ナビゲーション設計の基本を学ぶ。

ビジュアルデザイン要素の知識習得

  • 配色: 色彩理論の基礎(色相、彩度、明度)、配色の基本パターン(モノクロマティック、アナロガス、コンプリメンタリーなど)、アクセシビリティを考慮したコントラスト比などを学ぶ。
  • タイポグラフィ: フォントの種類と特性、読みやすい文字サイズ、行間、行長、階層構造を表現するための文字の使い分けなどを学ぶ。
  • レイアウトと余白: グリッドシステム、情報のグルーピング、視線誘導、余白(ネガティブスペース)の重要性と効果的な使い方を学ぶ。

課題4:UIデザインガイドラインの策定とチーム内への浸透へのアプローチ

チームメンバーが共通認識を持ち、一貫性のあるUIデザインを効率的に行うための原則、指針、ルール(ガイドライン)を策定し、チーム全体で共有・活用することを目指します。

基礎となるデザイン原則とビジョン(指針)の明文化

  • デザイン原則の策定: チームとして大切にしたいUIデザインの原則(例:「シンプルであること」「一貫性があること」「ユーザーを迷わせないこと」など)を数個に絞って定義する。
  • ビジョンの共有: アプリケーション全体でどのようなユーザー体験を提供したいか、どのようなブランドイメージを伝えたいかといった上位の指針を明確にする。

具体的なデザイン要素のルール化とドキュメント化

  • 要素の洗い出し:
  • カラー: 基本色、アクセントカラー、テキストカラー、背景色、状態(エラー、警告、成功など)を示す色の定義とカラーコード。
  • タイポグラフィ: 使用フォント、見出し・本文・キャプションなどの階層ごとのサイズ、ウェイト、行間。
  • レイアウトとグリッド: 基本グリッドシステム、主要な画面レイアウトパターン、余白のルール。
  • UIコンポーネント: ボタン、フォーム要素、ナビゲーション、カード、モーダル、アイコンなどの種類、見た目、挙動、使用場面。
  • インタラクション: ホバー、クリック、トランジションなどの基本的な動きのルール。
  • ボイス&トーン: アプリケーション内で使用する言葉遣いや文体の統一。
  • ドキュメント作成: 各要素について、ルール、良い例/悪い例、アクセシビリティへの配慮などを記述する。図や実際のデザイン例を多く用いて視覚的に分かりやすくする。

参考

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